信頼されるWebデザイナーになるための校正マニュアル|効率的な確認の流れ
- 最終更新日:2026/10/23
デザイン案を提出したあとに文字の間違いを指摘された、リンク先が違っていて冷や汗をかいた、デザインに集中するあまり細かいテキストのミスを見逃してしまった、という経験を持つWebデザイナーも多いのではないでしょうか。見栄えのよいビジュアルを作ることと同じくらい、掲載する情報の正確さを守ることは、現場で重視される力です。Webデザイナーの校正は、誤字を探すだけの作業ではなく、利用者に正しい情報を届け、クライアントの信頼を守るための大切な工程です。この記事では、Webデザイナーが校正で確認すべき項目と、ミスを減らすための確認の流れ、見落としやすいポイントを解説します。
Webデザイナーの校正とは何か
Webデザイナーの校正とは、制作したデザインや実装したページについて、テキストの誤字脱字、表記の揺れ、リンクの正しさ、数字の誤りなどを確かめ、正しい状態に直す作業です。見た目の確認だけでなく、ページに載っている情報そのものの正確さを守ることも含まれます。
一般に、校正は原稿どおりに文字が入っているかを確かめること、校閲は内容の矛盾や事実関係を確かめることを指します。Web制作の現場では、Webデザイナーがその両方を担う場面も多くあります。原稿どおりに流し込まれているかに加えて、読み手に誤解を与えない内容になっているかまで確認できると、仕上がりの品質が変わります。
Webは公開後に修正しやすい一方、誤った情報は公開した瞬間から多くの人の目に触れ、SNSで広まることもあります。あとで直せばいいという感覚でいると、思わぬ形で信頼を損ないかねません。
校正がWebデザイナーにとって重要な理由
小さなミスが、クライアントの事業に影響を与えることがあるからです。お問い合わせフォームの送信先が間違っていれば、見込み客の声がクライアントに届かず、機会を逃します。ECサイトで価格を誤って表示すれば、購入した人との間でトラブルになったり、表示の内容によっては景品表示法上の問題になったりするおそれもあります。電話番号の一桁違いや、キャンペーン期限の誤りも、利用者に直接迷惑をかけます。
誤字が目立つサイトは、仕事が雑な会社、管理が行き届いていないブランドという印象を与えます。正確な情報を載せ続けることは、利用者からの信頼の土台です。サイトの信頼性をデザインで伝える考え方はWebデザイナーのE-E-A-Tで解説しています。
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(Webデザイナー)では、生成AIとの競争の中で、より高いクオリティが求められるようになっていると説明されています。見た目を整えることは生成AIでもある程度できるようになった今、細部の正確さまで責任を持って確かめる姿勢は、人に依頼する価値の一つといえます。
Webデザイナーが校正で確認すべき項目
Webデザイナーが確認すべき項目を整理すると、次のようになります。
| 確認の観点 | 主な確認内容 |
|---|---|
| テキストと数字 | 誤字脱字、日付と曜日の一致、時間、金額、電話番号、住所 |
| 表記のルール | 同じ言葉の表記の揺れ、漢字とひらがなの使い分け、クライアントの表記ルール |
| リンクと動き | リンク先の正しさ、別タブで開くかどうか、リンク切れ、遷移先の内容 |
| デザインの整合性 | 余白、フォントの種類と大きさ、画像の切り抜きや書き出しの大きさ |
| 見えない設定 | 画像の代替テキスト、ページのタイトル、ファビコン、SNSで共有したときの画像 |
テキストと数字の正確さ
誤字脱字は、原稿と照らし合わせて一文字ずつ確認します。特に日付、曜日、時間、金額、電話番号といった数字は、間違いが許されない項目です。原稿に「〇月〇日(〇)」と曜日が書かれていても、その年のカレンダーで本当にその曜日かを確かめましょう。曜日と日付が一日ずれているミスは、実務でもよく起こります。
表記の揺れとルール
「お問い合わせ」と「お問合せ」、「サーバー」と「サーバ」のように、同じ意味の言葉がページの中で混ざっていないかを確認します。クライアントに表記のルールがあればそれに従い、ない場合はサイト内で多く使われている表記に合わせるのが実用的です。「出来る」と「できる」のように、漢字にするかひらがなにするかがそろっていることも、読みやすさにつながります。
リンクと動き
ボタンやテキストのリンクを実際にクリックし、意図したページに移動するかを確かめます。外部サイトへのリンクを別タブで開く設定にしているかなど、動きの確認も必要です。グローバルナビゲーションやフッターのように全ページで共通の部分は、間違いの影響範囲が広いため特に注意しましょう。リンクは正しいのに、移動先のページの内容が古いままというケースも見落としがちです。
デザインの整合性
余白のルールが崩れていないか、フォントの種類や大きさがスタイルガイドどおりか、画像の切り抜きや書き出しの大きさにミスがないかも確認します。デザインカンプとブラウザでの表示を見比べ、気になる部分はブラウザの検証ツールで数値として確かめると正確です。制作の手順の中で整合性を保つ考え方はWebデザイナーのメソッドで解説しています。
ミスを見逃さないための確認の手法
人は、間違った文字を頭の中で補って、正しく読んだつもりになってしまうことがあります。この思い込みを防ぐための手法を紹介します。
指でなぞりながら声に出して読む
画面の文字を指やペン先で追いながら、一文字ずつ声に出して読み上げます。目で追うだけでは見落としやすい脱字も、声に出すとリズムの違和感として気づきやすくなります。一人で作業することが多いフリーランスの方にこそ取り入れてほしい方法です。
確認するテーマを絞って何度も見る
すべてを一度に確認しようとせず、一回目はリンクだけ、二回目は誤字脱字だけ、三回目は数字だけ、というように、見るテーマを一つに絞って繰り返します。一度に注意を向ける対象を減らすことで、小さな違和感に気づきやすくなります。
見る環境を変える
パソコンの画面だけでなく、スマートフォンやタブレットの実機、異なるブラウザで表示して確認します。画面の幅が変わったときに、文の途中で不自然に改行されていないか、ボタンが押しにくくなっていないかは、パソコン上のシミュレーターだけでは気づけないことがあります。可能であれば、iPhoneとAndroidの両方で確かめるのが理想です。長いページや表が多いページは、紙に印刷して読むと、画面では気づかなかったミスが見つかることもあります。文章を最後から逆にたどって読み、意味ではなく文字の形として見るのも、打ち間違いを見つける方法の一つです。
ミスを減らす校正の流れ
ミスを減らすには、気が向いたときに確認するのではなく、制作の流れの中に校正の工程を組み込むことが大切です。
作り終えた直後に自分で確認する
制作が終わったら、まず自分で全体を見渡し、未完成の部分や明らかなずれがないかを確認します。ここで目立つミスを取り除いておくと、次の確認の精度が上がります。
時間を置いてから見直す
作った直後は、頭がそのデザインに慣れきっていて、客観的に見るのが難しくなっています。一晩置くか、少なくとも別の作業を挟んでから見直すと、他人の作品を見るような目で確認できます。締め切りが迫っていても、この時間はできるだけ確保しましょう。
ほかの人に確認してもらう
自分以外のデザイナーやディレクターに確認を依頼すると、自分の癖や思い込みによるミスを減らせます。チームで働いているなら、お互いに確認し合う習慣を作ると、全体の品質が上がります。フリーランスの場合は、信頼できる同業者と確認し合う関係を作るのも一つの方法です。
Webデザイナーが見落としやすいポイント
確認の流れを整えていても、見落としやすい箇所はある程度決まっています。実務で起こりやすいミスを見ていきましょう。
ダミーテキストの消し忘れ
「テキストが入ります」のような仮の文字を、そのまま公開してしまうミスです。制作中に見慣れてしまい、違和感を持てなくなるのが原因です。仮の文字には「★」や「※未入力※」のような、ふだんの文章では使わない記号をつけておき、最後にブラウザの検索機能で残っていないかを一括で確かめる習慣をつけると防ぎやすくなります。
流用したページに古い情報が残る
似た構成のページを複製して作るとき、前のページの住所や電話番号、開催年などが一部残ってしまうミスです。流用した部分は一度すべて消し、空の状態から原稿を入れ直すと、古い情報が混ざるのを防げます。
スマートフォンでの表示崩れと押し間違い
パソコンでは問題なく見えても、実機では文字が画像に重なったり、リンク同士が近すぎて押し間違えやすくなったりすることがあります。検証ツールでの確認で満足せず、実機で実際に指を使って操作し、スクロールしたときの重なりやボタンの押しやすさを確かめましょう。
代替テキストやSNS用の設定の漏れ
画像の代替テキストが空のまま、あるいはファイル名のままになっているケースはよく見られます。内容を伝える画像には中身を簡潔に説明するテキストを入れ、飾りとしての画像には空の代替テキストを設定する、という使い分けが基本です。ウェブアクセシビリティの指針であるWCAG 2.2でも、画像などの文字以外のコンテンツには、同じ役割を果たすテキストを用意することが求められています。ブラウザのタブに表示されるファビコンや、SNSで共有したときに表示される画像も、デザイン作業の外側にあるため漏れやすい項目です。共有したときの見え方を確認できるツールで、実際の表示を確かめておきましょう。
修正したあとに周りを確認しない
一度確認したあとに直した部分は、その前後にも影響が出ることがあります。文章を直したら行数が増えてレイアウトが崩れた、リンクの文言を変えたら移動先の内容と合わなくなった、ということは実務でよく起こります。修正のあとは、周りも含めてもう一度確認しましょう。
ツールを補助として活用する
人の目による確認を補うために、ツールを使うのも有効です。文章校正の支援ツールや生成AIにテキストを読み込ませると、助詞の誤りや変換ミスの候補を洗い出せます。手作業での確認の前のふるい分けとして使うと効率的です。ただし、ツールは文脈を読み違えることもあるため、指摘をうのみにせず、最後は自分で判断しましょう。生成AIの使いどころはWebデザイナーのAI活用で紹介しています。
ページ数の多いサイトでは、リンク切れを一括で調べられるツールを使うと確認の漏れを防げます。リニューアルでページのURLが変わる案件では、古いURLへのリンクが残りやすいため特に役立ちます。フォントの大きさや色、余白の数値、代替テキストの有無は、ブラウザの検証ツールでソースを見て確かめると正確です。
校正についてよくある誤解
校正はライターやディレクターの仕事、と考える人もいますが、テキストをレイアウトに流し込む工程でミスが生まれることも多く、自分が作った画面に責任を持つ意識が欠かせません。
ブラウザやエディタの自動チェックがあれば十分、というのも誤解です。日本語の表記の揺れや、文脈によって正しい漢字が変わる誤変換は、ツールだけでは見つけきれません。ツールはあくまで補助で、人による確認は省略できません。
また、支給された原稿は正しいもの、と思い込むのも危険です。住所や日付、イベントの日程が祝日と重なっていないかなど、明らかにおかしな点に気づいたら、クライアントに確認しましょう。原稿の誤りに気づいて伝えられるデザイナーは、それだけで信頼されます。
働き方による校正の進め方
制作会社などチームで働いている場合は、誰が見てもわかる形で校正を進めることが大切です。直した箇所と理由を記録しておくと、ディレクターやエンジニアとのやり取りがスムーズになります。チェックのルールが整っていなければ、確認項目の一覧を作ることを提案するのも、信頼を得る機会になります。
フリーランスや副業の場合は、自分の確認がそのまま最終の確認になります。時間を置く、声に出す、環境を変えるといった工夫で、自分の思い込みを外す仕組みを持ちましょう。こうした誠実な仕事の積み重ねは、ポートフォリオや継続の依頼にもつながります。見せ方はWebデザイナーのポートフォリオ、仕事の探し方はWebデザイナーの案件獲得で解説しています。細部まで目を配る姿勢は、評価されるデザイナーに共通する考え方でもあります。考え方はWebデザイナーの極意で紹介しています。
自分専用の確認項目を作ってみる
最初の一歩として、これまでに指摘されたミスや、自分が見落としやすい点を書き出し、自分専用の確認項目の一覧を作ってみてください。数字、リンク、仮の文字、スマートフォンでの表示、代替テキスト、修正後の周りの確認といった項目から始め、案件ごとに少しずつ育てていくと、納品前の確認が迷わず進められるようになります。
