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データサイエンティストのキャリアパス完全ガイド|将来の選択肢と必要なスキルを解説

  • 最終更新日:2026/10/16
データサイエンティストのキャリアパス完全ガイド|将来の選択肢と必要なスキルを解説

AI技術の進展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の広がりにより、データをビジネス価値に変換する「データサイエンティスト」は、注目を集める職種の一つとなりました。しかし、その華やかなイメージの一方で、「この先どのようなキャリアを歩めばいいのか」「統計やAIの知識をどう深めれば市場価値が上がるのか」と、自身のキャリアパスに漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。仕事の全体像から確認したい方は、データサイエンティストとは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。

データサイエンティストの役割は、単に複雑なモデルを構築することだけではありません。データの裏側に隠されたビジネスの本質を読み解き、根拠を持って未来を予測し、企業の意思決定を支える存在です。そのため、キャリアパスは幅広く、特定の技術を極めるスペシャリストから、事業そのものを動かすマネジメント層、あるいは高度な分析を武器にするコンサルタントまで、自分の強みに合わせた多様な道が存在します。

本記事では、データサイエンティストのキャリアパスの全体像から、代表的な5つの進路、それぞれの段階で求められるスキル、成長の目安となる公的な指標、そしてつまずかないためのポイントまでを解説します。今の分析業務が将来のどこにつながっているかを整理し、次のステップを考える参考にしてください。

データサイエンティストのキャリアパスの全体像

データサイエンティストのキャリアパスは、データの「抽出・可視化」という実務段階から、高度な「予測・最適化」を経て、ビジネスの「変革・戦略」へと進化していきます。まずはどのような段階を経て成長していくのか、基本の流れを把握しましょう。

初期段階はデータの理解と基礎分析を担う

データサイエンティストとしての第一歩は、SQLなどを用いてデータを収集し、不備を整える「データクレンジング」や、現状を正しく把握するための「可視化」から始まります。たとえば、ECサイトの購買ログを集計してグラフ化し、「特定の時間帯に離脱率が高い」という事実を発見するような作業です。地味に見えますが、この地道な工程を通じてデータの癖やビジネス現場で何が起きているかを肌で感じることが、後のキャリアに影響します。

この段階では完璧な分析よりも「データを信頼できる状態に整える力」と「問いを立てる習慣」を身につけることを優先しましょう。

中期段階はモデル構築で価値を生み出す

経験を積むと、機械学習などの手法を用いて、将来の売上予測やユーザーの離脱予測といった「予測モデル」の構築を任されるようになります。たとえば、小売業で「翌月の需要を予測して過剰在庫を削減する」モデルを構築し、在庫コストの削減に貢献する、というような成果を出せるようになるのがこの段階です。

ここでは技術的な正確さだけでなく、その分析結果がどのように利益に貢献するのか、ビジネス的な視点が強く求められます。精度の高さだけでなく「ビジネスの意思決定を変えたかどうか」で評価される場面が増えていきます。

後期段階は専門性の確立か意思決定の主導かを選ぶ

ある程度の経験を積んだ後は、大きく2つの方向性から自分の進路を選ぶことになります。一つは、AIのアルゴリズムそのものを開発するような高度なスペシャリストを目指す道。もう一つは、組織全体のデータ活用方針を決定するマネージャーや、経営層のパートナーとなるコンサルタントへと進む道です。どちらが正解ということはなく、自分の強みと志向性に照らし合わせて判断することが重要です。収入の面から考えたい場合は、データサイエンティストの年収の記事も参考になります。

公的な指標で見る成長の段階

成長の段階を考えるうえで参考になるのが、一般社団法人データサイエンティスト協会のスキルチェックリストに関する資料です。スキルを「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つのカテゴリで整理し、レベルを4段階で示しています。データサイエンス力に関する記述を中心に整理すると、次のようになります。

レベルデータサイエンス力の記述(要約を含む)本記事の段階との対応
見習いレベル(アシスタント・データサイエンティスト)統計数理や線形代数、微分積分の基礎知識を有している初期段階
独り立ちレベル(アソシエイト・データサイエンティスト)基礎的な分析活動については、自律的に実施できる中期段階
棟梁レベル(フル・データサイエンティスト)予測、グルーピング、機械学習、深層学習、大量データの可視化、言語・画像処理、最適化問題などの応用的なスキルを活かす後期段階
業界代表レベル(シニア・データサイエンティスト)業界を代表するデータプロフェッショナルとして、既存手法の限界を打ち破り、新たに課題解決可能な領域を切り拓いている高度スペシャリストなどの到達点

自分が今どのレベルにいて、次にどのカテゴリを伸ばすべきかを確認する目安として活用できます。

データサイエンティストのキャリアパスの主な選択肢

データサイエンティストが目指せる代表的な5つのキャリアパスを紹介します。それぞれに求められる資質が異なるため、自分の強みと照らし合わせながら読んでみてください。

選択肢主な役割向いている人
高度スペシャリスト(AI研究者・リサーチャー)新しいアルゴリズムの開発や既存手法の改善技術の深掘りそのものが楽しい人
データアナリスト(ビジネス特化型)施策の立案や改善に向けた分析と提言数字でビジネスを動かしたい人
機械学習エンジニアモデルをシステムに組み込み、安定して稼働させるエンジニアリングに興味がある人
データサイエンスマネージャーチームの進捗管理やメンバーの育成組織として成果を出すことに関心がある人
データコンサルタントクライアント企業の課題をデータで解決する多様な業界の課題に関わりたい人

高度スペシャリスト(AI研究者・リサーチャー)

最新の論文を読み解き、新しいアルゴリズムを開発したり、既存手法の限界を突破したりする道です。たとえば、自然言語処理モデルの精度を改善する新たな学習手法を考案し、それを社内プロダクトに応用するような役割がこれにあたります。高度な数学的知識や研究能力が求められるため、「技術の深掘りそのものが楽しい」と感じる人に向いているキャリアパスです。厚生労働省のjob tagのデータサイエンティストのページでも、大学院などで統計学、数学、情報工学を専攻していた人が多く、博士号取得者からの転身もあるとされています。

データアナリスト(ビジネス特化型)

よりビジネスの現場に寄り添い、施策の立案や改善に重きを置きます。たとえば、マーケティング施策のA/Bテストを設計・分析し、「施策Bのほうがコンバージョン率が高い。理由は購入導線の短縮にある」と意思決定者に提言する仕事がこれにあたります。分析力を武器に、数字でビジネスを動かす「意思決定の参謀」のような役割を担います。データアナリストの進路はデータアナリストのキャリアパスの記事で詳しく紹介しています。

機械学習エンジニア(MLエンジニア)

構築したモデルを実際のシステムに組み込み、安定して稼働させることに特化します。「精度の高いモデルを作ったが、本番環境に乗せると遅すぎて使えない」という問題を解決するのがこの役割です。分析の知識だけでなく、ソフトウェア開発やAWS・Google Cloudなどのクラウド基盤の知識も必要とされ、エンジニアリングに興味を持つ人に向いているキャリアパスです。近い職種の目指し方はAIエンジニアになるための記事で紹介しています。

この道を目指すなら、クラウドの資格を学習の目安にする方法もあります。AWSのAWS Certified Machine Learning Engineer – Associateは、本番環境での機械学習ワークロードの実装や運用に関する力を対象としています。なお、以前あったAWS Certified Machine Learning – Specialtyは廃止され、受験できる最終日は2026年3月31日とされていました。資格は名称や内容が変わることがあるため、受験前に公式情報を確認しましょう。

データサイエンスマネージャー

チームを率いて、プロジェクトの進捗管理やメンバーの育成を行います。たとえば、データサイエンティストのチームを率い、各自の分析が会社の経営課題につながるよう優先順位を設定し、成果を経営層に報告する役割です。個別の分析作業よりも、組織としてどのように成果を出すか、他部署とどのように連携するかというリーダーシップが求められます。

データコンサルタント

自社だけでなく、クライアント企業の課題をデータで解決します。たとえば、製造業のクライアントに対して「生産ラインのセンサーデータを活用した不良品予測モデル」を提案・導入し、廃棄コストを削減するプロジェクトを主導するような仕事がこれにあたります。多様な業界のデータに触れられるため、論理的思考力とプレゼンテーション能力を磨きたい人にとって魅力的な道です。

データサイエンティストのキャリアパスで多い進み方

データサイエンティストがたどる一般的なステップアップの流れを紹介します。「いきなり高度な分析を」と焦る必要はありません。段階を踏むことが、長期的なキャリア形成の近道になります。

最初はデータエンジニアリングや集計業務で下地を作る

最初から高度なAIモデルを構築するのではなく、まずはデータを正しく取り出し、加工する「エンジニア」に近い業務から入ることも多いです。具体的には、複数のデータベースからSQLで必要な情報を抽出し、欠損値を補完してExcelやBIツールで集計する作業などがこれにあたります。データの構造を深く理解していることは、後に高度な分析を行う際の武器になります。データの特性を肌で理解していることが、一人前のデータサイエンティストへの土台です。

次に特定の領域で分析プロジェクトを完遂する

たとえば「広告の効果測定」や「在庫の最適化」など、特定のビジネス課題に対して分析を行い、実際に改善策を提示する経験を積みます。「会員ランク別に広告クリック率を分析したところ、上位会員向けにパーソナライズした広告の効果が高かった」という発見を提言し、施策が採用されたとき、「数字がビジネスを動かす実感」を掴めます。この体験がプロフェッショナルへの第一歩です。

さらに複数の手法を使い分けて課題解決の幅を広げる

統計学的なアプローチ(回帰分析・検定)から深層学習(ディープラーニング)まで、手法の引き出しを増やします。大切なのは「最新の手法を使うこと」ではなく、「課題に適した手法を選ぶ判断力」を持つことです。シンプルな線形回帰で十分な場面でディープラーニングを使っても、コストと工数が増えるだけです。どんなデータに対しても適切な手法を選べる「自走できるデータサイエンティスト」として認知されることを目指しましょう。

その先で役割を拡張し専門家またはリーダーへ進む

自身の適性に合わせて、技術を極めるスペシャリスト、チームを率いるマネージャー、あるいは広範な課題を扱うコンサルタントへと、自身のキャリアパスを決めていきます。この段階では「自分が価値を発揮できる役割は何か」という問いに正直に向き合うことが重要です。周囲の期待や給与水準だけで判断すると、長期的な満足感を得にくくなります。

データサイエンティストのキャリアパスで求められるスキル

キャリアの段階が進むにつれて必要となるスキルは変化します。今の自分に必要なものを見極め、優先順位をつけて習得しましょう。

技術的スキル

数学・統計学の深い知識

確率論、線形代数、微分積分などは、機械学習のアルゴリズムを正しく理解し、結果を解釈するために欠かせません。たとえば、「モデルが過学習しているかどうか」を判断するには、バイアス・バリアンスのトレードオフという統計的な概念の理解が必要です。データサイエンティストのキャリアパスにおいて、長く使い続ける土台となるスキルです。

プログラミング(Python・R)とSQL

データの抽出から加工、モデル構築、評価までを行うための言語習熟度です。特にPythonは、pandas・scikit-learn・PyTorchなどのライブラリを使いこなし、効率的なコードを書ける能力が求められます。SQLは「初歩的なもの」と侮らず、ウィンドウ関数やサブクエリを含む複雑な集計を扱えるレベルまで習得しておくと、現場で評価されやすくなります。

機械学習・ディープラーニングの実装力

回帰、分類、クラスタリングといった基本から、自然言語処理や画像認識などの応用まで、課題に合わせて適切なアルゴリズムを選択し実装できる力です。たとえば、「ユーザーの購入確率を予測する」という課題に対して、ロジスティック回帰・勾配ブースティング・ニューラルネットワークをそれぞれ試し、精度とコストのバランスから選ぶような判断力が求められます。

ITインフラ・クラウドの知識

大量のデータを扱うためのAWSやGoogle Cloudなどのクラウド操作、またDockerなどのコンテナ技術の理解は、実務で評価されやすいスキルです。「ローカル環境では動くが、本番では動かない」という問題を自分で解決できるデータサイエンティストは、チームの中で信頼を得やすくなります。

非技術的スキル

ビジネスドメイン知識

その業界の商習慣やKPIの仕組みを理解していることです。たとえば、サブスクリプション型のサービスでは「LTV(顧客生涯価値)」や「チャーンレート(解約率)」が重要な指標であることを知らずにモデルを作っても、現場で使われる提言はできません。ドメイン知識がないと、データの表面的な変化に惑わされ、本質的な提言ができなくなります。

論理的思考力と仮説構築力

「なぜこの結果が出たのか」を論理的に説明し、分析の前に「おそらくこうではないか」と仮説を立てる力です。仮説なき分析は「データを眺めているだけ」になりがちです。仮説を立てることで、検証すべき項目が絞られ、効率よく成果を出せるようになります。無駄な分析を避け、限られた工数で成果を出すために欠かせないスキルです。

ストーリーテリング(伝える力)

複雑な分析結果を、専門用語を使わずに意思決定者に伝える力です。たとえば、「モデルのAUCが〇〇で、上位〇〇%のリフトが〇〇倍」という説明よりも、「このモデルを使えば、全顧客に営業するより少ないコストで同程度の売上が見込める」と言い換えることで、経営者は行動を起こしやすくなります。相手が納得し「この方向に進もう」と決断できて初めて、データサイエンティストの仕事は完結します。

データサイエンティストのキャリアパスを広げる方法

現状のスキルにプラスアルファの要素を加えることで、キャリアの選択肢は広がります。今の仕事を続けながら取り組めるアプローチを紹介します。

ドメイン知識を一つの業界に絞って磨く

たとえば「金融×データサイエンス」であれば、不正検知・信用スコアリングといった金融特有の分析課題に詳しくなることを目指します。「製造×データサイエンス」なら、予知保全・品質検査の自動化・サプライチェーン最適化が主要なテーマです。業界特有のデータの特性を熟知していることは、分析技術と並ぶ差別化の要因になります。単価の高い領域はデータサイエンティストの高単価ジャンルの記事でも紹介しています。

開発・エンジニアリング領域へも歩み寄る

「モデルを作っておしまい」ではなく、それがどのようにシステムとして動くのかを学ぶことで、実社会に実装されやすくなります。具体的には、FastAPIを使ってモデルをAPIとして公開する、Airflowで定期的な再学習パイプラインを組む、といった経験が有効です。実装まで考慮できるデータサイエンティストは、エンジニアチームとの連携がスムーズになり、現場で信頼されやすくなります。データ基盤の領域に関心があれば、データエンジニアになるための記事も参考になります。

最新のAIトレンドを継続的にキャッチアップする

生成AI(大規模言語モデル)の活用など、技術の潮流は常に変化しています。たとえば、社内ドキュメント検索にRAG(検索拡張生成)を適用する、顧客対応のチャットボットを大規模言語モデルで構築するといった実験に取り組むことが、キャリアの幅を広げます。既存の手法に固執せず、新しい技術をビジネスにどう適用できるかを試行錯誤する姿勢が、キャリアパスをより豊かなものにします。活用の考え方はデータサイエンティストのAI活用の記事で紹介しています。

データサイエンティストのキャリアパスでつまずきやすいポイント

後悔しないために、陥りがちな落とし穴を確認しておきましょう。いずれも「技術力があるのにキャリアが伸び悩む」ときに見られやすい傾向です。

精度だけを追い求めてしまう

モデルの精度をわずかに上げることに長い時間を費やし、ビジネスの締め切りを逃したり、改善コストがビジネス効果を上回ったりするケースです。精度がわずかに上がっても、ビジネス上の意思決定が変わらなければ、その時間は評価されにくいこともあります。ビジネス現場では「完璧なモデル」よりも「適時な意思決定を支える分析」が優先されることを常に意識しましょう。

コミュニケーションを疎かにする

専門用語を並べ立てて説明し、現場の担当者や経営者との距離が開いてしまうパターンです。「AUC、F値、ハイパーパラメータ」といった言葉を相手の理解度を確認せずに使い続けると、「よく分からないが、とりあえず承認する」という形になりがちです。相手が何を意思決定したいのかを起点にしない分析は、どんなに高度でも現場で採用されにくくなります。

手法を使うこと自体が目的になってしまう

「最新のディープラーニングを使いたいからこのプロジェクトに適用する」という考え方は危険です。ユーザーの購入傾向分析に高度なニューラルネットワークを使わなくても、単純な集計やルールベースで十分な精度が出るケースもあります。課題解決に適しているのがシンプルな集計であれば、それを選ぶ判断力こそがデータサイエンティストに求められるものです。

データサイエンティストのキャリアパスを考えるときのポイント

自分にとって最適な道を選ぶための判断基準を整理します。正解は一つではなく、自分の価値観と強みを軸に選択することが、長期的なキャリア満足度につながります。向き不向きについてはデータサイエンティストに向いている人の記事も参考になります。

探究心と貢献実感のどちらに喜びを感じるか

新しいアルゴリズムや理論を知ることそのものに大きな喜びを感じるなら、AI研究者やスペシャリスト方向が向いています。一方、自分の分析で売上が上がったり、誰かの生活が便利になったりすることに喜びを感じるなら、ビジネスアナリストやコンサルタント寄りのキャリアが合っているでしょう。この違いを明確にすることが、キャリアパスを選ぶ第一歩です。

どの種類のデータに関心を持てるか

SNSのテキストデータ、ECの購入ログ、工場のセンサーデータ、医療の電子カルテデータなど、データの種類は業界によって大きく異なります。自分が興味を持って観察し続けられるデータのジャンルを見つけることが、専門性を深めるうえで重要です。関心を持てる対象であれば、分析の深みも自然と増し、ドメイン知識の習得も進みやすくなります。

どのような責任を負いたいか

技術的な正しさに責任を持つのか、それともプロジェクト全体の成否や予算、チームメンバーの成長に責任を持つのか。キャリアが上がるほど責任の質が変わります。たとえば、マネージャーになれば「自分が分析する時間」は減り、「他者の分析を評価・指導する時間」が増えます。自分の理想の役割をイメージしたうえで、キャリアパスを選択しましょう。

データサイエンティストのキャリアパスを立場別に考える

ここでは、異なる立場の人が、それぞれどのようにキャリアパスを考えるとよいかを、モデルケースで整理します。これらは典型的なパターンをもとにしたものであり、個人の状況によって最適解は異なります。

社会人経験3年以内のケース

業務でSQLやPythonを使って集計・可視化を担当しているが、「このまま続けていていいのか」と不安を感じているパターンです。この段階では、焦ってキャリアパスを確定させる必要はありません。まずは「ビジネス課題を起点に分析プロジェクトを完遂した経験」を1〜2件作ることを優先しましょう。Kaggleのコンペティションへの参加や、業務外で公開データを使った分析ポートフォリオの作成が、次のステップを広げる具体的な行動になります。

エンジニアからの転向を検討しているケース

バックエンドやインフラ系のエンジニアとして経験を持ち、データ分析領域に移りたいと考えているパターンです。job tagでも、中途採用では情報処理技術者からの転身が多いとされています。システム設計やクラウド操作の知識をすでに持っているため、機械学習エンジニアとしてのキャリアパスが比較的開けやすいでしょう。不足しがちなのは統計・機械学習の知識と「ビジネス課題を分析に落とし込む経験」なので、この2点に集中して補うことが効率的です。転職の進め方はデータサイエンティストへの転職の記事で紹介しています。

他業種の専門家がデータ活用を強化するケース

製造業・医療・金融などの現場経験を持ちながら、データ分析のスキルを加えて活躍の幅を広げたいパターンです。job tagでも、マーケティングリサーチャーや製造業の研究者などからの転身が多いとされています。すでにドメイン知識を持っているため、PythonとSQLの基礎を習得し、自分の業界のデータを分析できるようになると「業界×データサイエンス」という強みを打ち出せます。ドメイン知識との掛け合わせを武器にすることが、現実的で効果的なキャリアパスです。学び方はデータサイエンティストの独学方法の記事やデータサイエンティストになるための記事で紹介しています。

データサイエンティストとして市場価値を高める考え方

単なる「分析担当者」から、企業に欠かせない「価値創出のパートナー」へと視点を転換しましょう。この意識の差が、長期的な市場価値に影響します。

投資対効果の視点を常に持つ

「この分析に自分の工数を〇〇時間かける価値はあるか」「得られる利益はコストを上回るか」を自問自答しましょう。たとえば、「機械学習モデルの構築には時間がかかるが精度が高い。一方、ルールベースの判定なら短期間で完成するが精度はやや下がる。この差がビジネスにどれだけ影響するか」という比較ができるデータサイエンティストは、経営目線で動けると評価されます。

数字の裏にある人間の行動を想像する

データはユーザーの行動の記録に過ぎません。なぜユーザーはそのボタンを押したのか、なぜここで離脱したのか。数字の向こう側にいる人間の感情や状況を想像することで、より本質的な課題解決に近づけます。たとえば、「カートへの追加後に離脱するユーザーが多い」というデータに対して、「送料を確認して購入をやめた可能性がある」と人の行動に結びつけて仮説を立てることで、施策の方向性が具体的になります。

データサイエンティストのキャリアパスを実現する行動

理想の未来に近づくために、今日から始められる具体的なアクションです。「いつかやろう」ではなく、小さな一歩から始めることがキャリアを動かす鍵です。

Kaggleなどのコンペティションへの挑戦

世界中の参加者と同じ課題に取り組むことで、自分の実力を客観的に把握し、新しい手法を学ぶことができます。最初から上位を狙う必要はありません。「完走すること」「上位のコードを読み解くこと」を目標にするだけで、実務では得にくい分析手法のインプットが得られます。メダルの獲得実績は、キャリアの節目でスキルを示す材料になります。

データが生まれる現場に足を運ぶ

営業やマーケティング、工場の製造現場など、データが生まれている場所に足を運びましょう。たとえば、営業担当者に1日同行してみると、「CRMには入力されていないが、顧客の予算消化時期が受注に影響している」といった、データだけでは見えない現場知識を得られることがあります。現場の担当者が何に困り、どんな言葉を使っているかを知ることが、分析の質を高める近道です。

分析ポートフォリオの継続的な更新

どのような課題に対し、どんな仮説を立て、どう解決したのかを言語化してストックしておきましょう。GitHubにコードを公開する、ブログなどに分析の思考プロセスを書き残すといった方法が有効です。守秘義務に配慮しつつ、自分の「課題解決の型」を可視化できるようにしておくことが、転職や社内異動などのチャンスを掴む鍵になります。作り方はデータサイエンティストのポートフォリオの記事で紹介しています。

データサイエンティストのキャリアパスを確認するチェックリスト

次のチェックリストを使って、自分の現在地と次のアクションを確認してみましょう。すべてにチェックが入ることよりも、「今自分に何が不足しているか」を把握することを目的としています。

分類チェック項目
基礎力SQLを使って複数テーブルを結合し、目的のデータを抽出できる
基礎力Pythonで前処理から可視化までの基本的な分析フローを実行できる
基礎力統計の基礎(平均・分散・検定・相関)を業務で説明できる
基礎力分析結果を非エンジニアに口頭で説明した経験がある
実務力ビジネス課題を起点にした分析プロジェクトを完遂した経験がある
実務力機械学習モデルを構築し、精度評価まで行った経験がある
実務力分析結果が実際のビジネス施策に採用されたことがある
実務力AWSやGoogle Cloudなどのクラウドサービスを業務で使った経験がある
キャリア設計5年後の具体的な役割(スペシャリスト・マネージャー・コンサルタントなど)をイメージできている
キャリア設計自分が深めたいドメイン(業界)を一つ選んでいる
キャリア設計公開できる分析ポートフォリオが1件以上ある
キャリア設計最新のAI・機械学習の動向を定期的にキャッチアップする習慣がある

データサイエンティストはスキルと経験によってキャリアパスが広がる

データサイエンティストのキャリアパスは、一本の決まったレールではありません。データと向き合うなかで磨いた技術力、論理的思考力、そしてビジネス感覚は、変化の激しい現代において、どのような道に進んでも活かせる武器となります。

最初は地道なデータ処理の連続かもしれません。しかし、その一つひとつの積み重ねが、ビジネスを動かす知見へと変わっていきます。大切なのは、技術の進化に好奇心を持ちながらも、常に「このデータで誰の課題を解決できるか」という視点を忘れないことです。

キャリアパスに正解はありませんが、「今の自分に何が不足しているかを把握し、次の一手を決める」という姿勢は、どの段階でも共通して必要です。まずは今日から、目の前のデータに真摯に向き合うことから始めてみてください。今後の需要の見通しはデータサイエンティストの将来性の記事で、資格の選び方はデータサイエンティストの資格の記事で紹介しています。

著者情報

アラサー既婚子持ちのデジタルマーケター「T.I」です。
デザイン,コーディング,ライティング,seo,広告運用,sns運用の全てを担当しています。
大学卒業後、新卒の就活でやらかし、新卒を捨ててベンチャーで未経験のwebライターのアルバイトとしてキャリアをスタートして現在はプライム市場上場の企業でWebマーケター(正社員)として働いています。
未経験なりの悩みもわかるつもりなので、皆さんの力に少しでも役に立てるように情報を提供します。

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