データエンジニアの資格|取る前に確かめたい費用と更新の負担、基盤別の選び方
- 最終更新日:2026/10/27
データエンジニアの資格を調べると、国家試験とクラウドベンダーの認定が入り混じり、どれから手を付けるべきか迷いやすくなります。資格は、持っているだけで仕事が決まるものではなく、費用、有効期限、志望先の基盤との相性まで見て選ぶ道具です。この記事では、データエンジニアの資格を、公式に公表されている費用や日程、更新の負担、求人から逆算した選び方の順に整理します。
データエンジニアの資格を選ぶ前に確認したい前提
資格が就業の入口になるとは限らない
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、データエンジニアの関連資格として、Google認定プロフェッショナルデータエンジニアと、IPAのデータベーススペシャリスト試験やシステムアーキテクト試験が紹介されています。一方で、就業者へのアンケートでは、入職前の実務経験が「特に必要ない」とした回答は39.5%、入職前の訓練が「特に必要ない」とした回答は23.7%でした。回答数が限られた調査とみられるため傾向として受け取る必要がありますが、資格の有無だけで入口が決まるわけではないことがうかがえます。
資格が力を発揮しやすい場面
実務経験が乏しい段階で、基盤の知識を客観的に示したいときや、クラウドの設計用語を共通言語として身につけたいときに効果を発揮します。ただし、資格だけで収入が上がるわけではありません。年収との関係はデータエンジニアの年収の目安と上げ方でも、資格と実績を組み合わせる考え方を扱っています。
公式情報で比べる主な資格の費用と条件
試験の系統や受ける順番は、データエンジニアの検定を3系統で整理した記事に任せ、ここでは費用、試験の形式、日程といった公式の公表情報に絞って並べます。金額や日程は2026年10月時点の公表内容で、変更されることがあります。
基本情報技術者試験
IPAの情報処理技術者試験で、CBT方式により年間を通じて随時受験できます。科目Aは90分で60問、科目Bは100分で20問です。受験手数料は全区分共通で7,500円とされています。
応用情報技術者試験
2026年度の前期は、申込受付が11月7日(土)17時まで、科目Aが10月28日から11月10日、科目Bが11月24日から12月6日です。後期は2027年1月27日から2月16日が申込期間です。この記事を読む時点で前期の申込が終わっている場合は、後期の日程を確認します。
データベーススペシャリスト試験
2026年度は後期のみの実施で、申込受付は2027年1月27日から2月27日です。科目A-1とA-2は2月20日から3月2日、科目B-1とB-2は3月16日から3月28日に行われます。設計や性能の知識を深めたい人に向く試験です。
AWS認定データエンジニアアソシエイト
AWS Certified Data Engineer Associateは、受験料が150ドル、試験時間は130分で65問です。日本語での受験ができ、有効期間は3年とされています。推奨経験は、データエンジニアリングで2〜3年、AWSサービスで1〜2年です。出題はデータの取り込みと変換が34%、データストア管理が26%、データ運用とサポートが22%、セキュリティとガバナンスが18%の配分になっています。
Google認定プロフェッショナルデータエンジニア
Professional Data Engineerは、受験料が200ドル、試験時間は2時間で、40〜50問の択一と複数選択で構成されます。日本語で受験でき、有効期間は2年です。推奨は3年以上の業界経験で、うち1年以上はGoogle Cloudでの設計・管理経験とされていますが、受験の前提条件はありません。
Microsoft認定Fabricデータエンジニアアソシエイト
試験コードはDP-700で、試験時間は100分、日本語を含む複数の言語で提供されています。SQL、PySpark、KQLでデータを操作・変換できることが求められます。認定名や試験内容は見直されることがあるため、受験を考える際は現行の公式ページで最新の内容を確認します。
Databricks Certified Data Engineer Associate
受験料は200ドルで、45問を90分で解き、有効期間は2年です。PySparkを使った変換とモデリングが22%、データの取り込みと読み込みが21%、ジョブの運用が16%といった配分で、Databricksを使う現場を狙う人の選択肢です。
志望先の基盤から逆算して選ぶ
求人票の技術欄を3件書き出す
資格の知名度より、応募したい企業がどのクラウドやデータ基盤を使っているかが大切です。気になる求人を3件開き、歓迎スキルに書かれたクラウド名と、データウェアハウスの名前を書き出します。最も多く出てきた基盤が、最初に狙う認定の候補です。
基盤が定まらないときは国家試験から入る
志望先が絞れていない時期は、特定の企業に依存しない国家試験でSQLとデータベース設計の土台を確かめておくと、後でどの認定に進んでも知識が生きます。基盤が決まった段階で、その認定に切り替えます。
複数の認定を並べて取る必要はあるか
最初から複数の基盤を取りに行くと、費用と学習時間が分散します。一つの基盤で実務に近い演習まで進み、転職後に現場で使う基盤が変わったときに追加で取る流れでも、遅くはありません。
取得後に続く更新の負担
民間の認定には有効期間があり、維持するための手間と費用がかかります。AWSは3年、Google CloudとDatabricksは2年が有効期間です。Google Cloudには、更新の対象期間内に受けられる更新試験があり、1時間で20問、受験料は100ドルとされています。指定された講座やスキルバッジの修了で更新する方法も用意されています。Microsoftの認定は、Microsoft Learnのオンライン評価に合格すれば無料で更新できる仕組みです。
取得そのものより、2年後や3年後に実務で使い続けているかを想像して選ぶと、更新の費用と労力に見合うかを判断しやすくなります。
資格の前後で残しておきたい実績
小さなパイプラインを先に作る
公開データを取り込み、整えて、データウェアハウスに蓄積し、定期実行するところまでを一つ作っておくと、資格の学習内容が手を動かした経験と結びつきます。成果物の見せ方はデータエンジニアのポートフォリオの作り方で整理しています。
職務経歴書への書き方
資格名、取得した年月、出題範囲のうち実務で使った部分を並べて書きます。名称だけを並べるより、どの業務のどの課題に生かしたかまで添えたほうが、面接での質問にも答えやすくなります。
取得を急がなくてよいケース
すでに実務で同じ基盤を使っている場合
現職でデータ基盤を日常的に扱っているなら、資格の費用と学習時間を、実績の説明に回したほうが評価につながることがあります。社内の昇給や手当に資格が条件として含まれているかを、先に確認します。
推奨経験に大きく届いていない場合
AWSの推奨経験は2〜3年、Google Cloudは3年以上とされており、実務未経験の段階では、合格までの学習量が大きくなりやすい試験です。学習の目標として使うのは有効でも、合格を転職の条件にしてしまうと、時間だけが過ぎるおそれがあります。
最初の一手をどう決めるか
手元に求人票を3件用意し、歓迎スキルの欄から基盤の名前だけを抜き出して数えてみてください。最も多かった基盤の公式試験ガイドを開き、出題範囲のうち自分が触ったことのある分野に印を付けると、受験までに必要な学習量が見えてきます。
