UI/UXデザイナーに校正スキルが欠かせない理由と実践のコツ
- 最終更新日:2026/10/23
UI/UXデザイナーの仕事は画面の設計やワイヤーフレームの作成が中心に思われがちですが、公開前の確認を軽く見ると、練り上げた画面の完成度が下がってしまいます。ボタンの文言の揺れやエラーメッセージのわかりにくさ、仮の文字の消し忘れは、利用者の迷いや不信感につながるからです。UI/UXデザイナーの校正は、仕上げのおまけではなく、使いやすさと信頼を守るための大切な工程です。この記事では、画面ならではの校正のポイントと、チームで続けられる確認の手順、つまずきやすい点を解説します。
UI/UXデザイナーの校正が欠かせない理由
UI/UXデザイナーの校正とは、画面に表示される文言や表記、情報の並びが正しく、わかりやすく、ルールどおりになっているかを確かめる作業です。UI/UXデザイナーの仕事には、画面の設計だけでなく、ボタンのラベル、入力欄の説明、エラーメッセージといった画面上の文言づくりも含まれます。こうした短い文言はマイクロコピーとも呼ばれ、利用者が次に何をすればいいかを判断する手がかりになります。仕事の全体像はUI/UXデザイナーの基本で解説しています。
文言に誤りや揺れがあると、見た目が整っていても利用者は違和感を覚えます。たとえば、ある画面では「登録する」、別の画面では「登録します」「保存」と表記がばらばらだと、同じ操作なのか違う操作なのかが判断しにくくなります。小さな揺れの積み重ねが、操作の迷いや問い合わせの増加、サービスへの不信感につながることもあります。
また、複数人で進めるプロジェクトでは、校正は個人の感覚ではなく、あらかじめ決めた表記のルールに沿っているかを確かめる作業でもあります。担当者が変わっても品質が落ちない体制を作るうえで、欠かせない工程です。厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(UX/UIデザイナー)でも、デザインの基礎や情報設計の基礎に加え、ユーザーの側に立った設計のための人間中心設計や心理学の知識が求められる場面もあると記載されています。利用者が迷わない文言に整えることも、ユーザーの側に立った設計の一部です。
画面の校正で確認したいポイント
UI/UXデザイナーが校正で確認したいポイントを整理すると、次のようになります。
| 確認の観点 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 文言と表記 | 誤字脱字、表記の揺れ、敬語の統一、数字や記号の全角半角、日付や金額の書き方 |
| マイクロコピー | ボタンの結果が伝わるか、エラーの原因と対処が書かれているか |
| 画面の状態 | 空の状態、読み込み中、エラー、文字が長いときの表示 |
| 情報の整合性 | 説明文と実際の画面の流れやボタンの位置が一致しているか |
| アクセシビリティ | 色だけで区別していないか、画像の代替テキスト、読み上げで意味が通じるか |
文言と表記の揺れ
敬語の使い方、「ください」と「下さい」のような漢字とひらがなの使い分け、数字の全角半角、句読点や記号の使い方などを、表記ルールとして一覧にしておくと確認漏れを防げます。日付や金額の書き方もそろえておきましょう。専門用語を使う場合は「オンボーディング(初めて使う人がサービスに慣れるまでの案内)」のように補足を添えると、社内外への説明もスムーズになります。
マイクロコピーのわかりやすさ
ボタンの文言は、押すと何が起きるのかがわかる言葉にします。「OK」より「保存する」「注文を確定する」のほうが、操作の結果が伝わります。エラーメッセージは、何が起きたのかと、どうすればよいのかの両方を書くのが基本です。「入力内容に誤りがあります」だけでなく、「電話番号は半角数字で入力してください」のように具体的に示すと、利用者は迷わず直せます。
画面の状態ごとの表示
デザインツール上では、内容がきれいに収まった状態だけを確認しがちです。データがまだない空の状態、読み込み中、エラーが起きたとき、名前や商品名がとても長いときなど、さまざまな状態での表示も確かめましょう。仮の文字や「テキストが入ります」のようなダミーの文言が、公開前に残っていないかの確認も欠かせません。
情報の整合性とアクセシビリティ
文言だけでなく、説明文に書かれた手順と実際の画面の流れ、ボタンの位置が一致しているかも確認の対象です。あわせて、色だけで情報を区別していないか、画像に内容を伝える代替テキストがあるか、読み上げソフトで聞いても意味が通じるかを見ておきましょう。ウェブアクセシビリティの指針であるWCAG 2.2でも、色だけに頼って情報を伝えないことが求められています。通常の文字のコントラスト比を4.5:1以上にすることも、基準の一つとされています。
チームで続けられる校正の手順
校正を個人の頑張りに頼らず、チームの仕組みとして続けるための手順を紹介します。
表記ルールとチェックリストを作る
まずは、よく揺れる表記や、チームで間違えやすいポイントを洗い出し、表記ルールとチェックリストに書き出します。デザインシステムがある場合は、ボタンやエラーメッセージの文言の型も一緒に定めておくと、画面が増えても表記がぶれにくくなります。
実機やブラウザで通しで確認する
デザインツールの画面だけで確認を終えず、プロトタイプや実際の端末で、文言と操作の流れを最初から最後まで通して見直します。声に出して読んでみると、不自然な言い回しや長すぎる文に気づきやすくなります。
ほかの人に確認してもらう
作った本人は、思い込みで読み飛ばしてしまいがちです。可能であれば、ほかのデザイナーやライター、開発のメンバーにも見てもらいましょう。一人で進めている場合は、時間を空けてから読み直すだけでも効果があります。
直した内容を記録する
どこをどう直したのかを記録しておくと、同じ間違いの再発を防げ、チェックリストを改善する材料にもなります。生成AIで表記の揺れや誤字の候補を洗い出すのも一つの方法ですが、最終的な判断は自分の目で行いましょう。使い方はUI/UXデザイナーのAI活用で紹介しています。
校正でつまずきやすい点
校正の大切さはわかっていても、進め方によっては効果が出にくくなります。よくあるつまずきを確認しておきましょう。
最後の工程だけで確認しようとする
校正をデザインが完成してからの作業と考えると、文言を変えたときに画面の配置まで直す必要が出て、手戻りが増えます。設計の早い段階から文言のルールを決め、ワイヤーフレームの時点で実際に近い文言を入れておくと、後の負担を減らせます。進め方の全体像はUI/UXデザイナーのメソッドで解説しています。
誤字探しだけで終わってしまう
校正は、文字の誤りを見つけるだけの作業ではありません。利用者が意味を理解できるか、次の操作に迷わないかまで含めて確認する工程です。文字の確認と、使いやすさの確認を分けて行うと、見落としに気づきやすくなります。
忙しさを理由に省略してしまう
納期が迫ると確認の時間を削りがちですが、公開後の修正はかえって手間が増えることが多くあります。スケジュールを組む段階で、校正の時間をあらかじめ確保しておきましょう。
専門的な表現を自己判断で決めてしまう
誤字や表記の揺れの確認は、経験が浅くても取り組みやすい作業です。一方で、料金や契約、個人情報の扱いに関わる文言、法律や業界のルールが関わる表現は、法務の担当者やその分野の専門家に確認してもらう必要があります。自己判断で公開すると、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
校正の力を評価と仕事につなげる
文言や表記まで丁寧に確認できる力は、画面の品質を支える強みとして評価されやすい部分です。ポートフォリオでも、マイクロコピーをどう改善したか、エラーメッセージをどう見直したかを示すと、細部まで考えていることが伝わります。見せ方はUI/UXデザイナーのポートフォリオで解説しています。細部に目を配る姿勢は、評価されるデザイナーに共通する考え方でもあります。考え方はUI/UXデザイナーの極意で、信頼される発信の考え方はUI/UXデザイナーのE-E-A-Tで紹介しています。
副業で画面の改善や文言の見直しを受ける場合も、表記ルールの作成から提案できると、継続の依頼につながりやすくなります。始め方の注意点はUI/UXデザイナーの副業で解説しています。
担当している画面の文言を洗い出してみる
最初の一歩として、担当している画面のボタン、エラーメッセージ、入力欄の説明の文言を一覧にしてみてください。同じ操作なのに表記が違うもの、何をすればよいかが伝わらないものが見つかれば、それが表記ルールに加えるべき項目です。普段使っているアプリの文言を、同じ観点で見直してみるのもよい練習になります。
