未経験のための道案内「ジブンノオト」

データサイエンティストのポートフォリオ、採用担当に伝わる作り方とREADME添削例

  • 最終更新日:2026/10/21
データサイエンティストのポートフォリオ|採用担当に伝わる作り方とREADME添削例

データサイエンティストの選考では、職務経歴書だけでは伝わりにくい「分析の進め方」を示す材料として、ポートフォリオの提出を求められたり、面接で説明を求められたりすることがあります。ところが、Titanicの生存予測やアヤメの分類をそのまま載せただけのものは、採用担当者から見ると誰が作っても同じに見えてしまいます。この記事では、データサイエンティストのポートフォリオが採用側にどう読まれるのかを出発点に、題材の選び方、READMEの書き方を添削例つきで示し、未経験者と経験者それぞれの作り分けや、載せてはいけない情報の注意点までを解説します。

データサイエンティストのポートフォリオは最初の数分で読まれ方が決まる

採用担当者や現場のデータサイエンティストは、応募者のポートフォリオを隅々まで読み込めるとは限りません。多くの場合、リポジトリを開いて最初に目に入るREADMEとグラフを数分眺め、「どんな問いを立て、どう検証し、何が分かったのか」が読み取れるかで、詳しく見るかどうかを判断します。

そのため、ポートフォリオで評価されるのはモデルの精度の高さそのものより、分析の筋道が短時間で伝わるかどうかです。精度が平凡でも、「なぜこの指標で評価したのか」「どこに限界があるのか」が書かれていれば、実務で一緒に働く姿を想像してもらいやすくなります。

公的な職業情報から見る求められる姿勢

厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(データサイエンティスト)では、IT、データ解析、ビジネス等の専門知識とスキルのほかに、コミュニケーション能力や発想力も要求されると説明されています。また、自分の分析結果やモデルが最善のものか、検討を続けていくとも記載されています。

ポートフォリオのREADMEに目的や限界、次に試したいことを書いておくことは、こうした姿勢を示す材料にもなります。仕事内容の全体像はデータサイエンティストの仕事内容で確認できます。

題材選びで差がつく理由

同じ手法を使っても、どんな題材を選ぶかで、作品から伝わる考え方は変わります。採用側に自分の考えが伝わる題材の選び方を見ていきましょう。

定番データセットだけで終わらせない

Titanicや住宅価格予測のような定番データは、学習には向いていますが、ポートフォリオとしては解法がネット上にあふれています。採用側から見ると、自分で考えた部分がどこなのか判別しにくくなります。使う場合は、公開されている解法と異なる切り口を加えるか、学習の記録として位置づけ、メインの作品は別に用意するのが無難です。

自分で問いを立てられる公開データを選ぶ

政府統計の窓口であるe-Statや自治体のオープンデータ、気象庁の過去データなどは、組み合わせ方次第で独自の問いを立てやすい素材です。たとえば「気温と降水量から地域ごとの飲料の消費傾向を推定する」「人口動態と保育所の定員データから待機児童が増えやすい地区を探す」のように、誰かの意思決定に役立つ問いを設定すると、分析の目的がはっきりします。

応募先の事業に近いテーマも入れる

EC企業に応募するなら購買データの分析、広告会社ならクリック率の予測というように、応募先の事業に近い題材が1つあると、面接で話が広がりやすくなります。すべての作品を合わせる必要はなく、数件の作品のうち1つを応募先寄りにする程度で十分です。

READMEは添削例で比べると違いが分かる

同じ分析でも、READMEの書き方で伝わり方は変わります。ある応募者が、自転車シェアリングの利用データで需要予測を行った作品を例に考えます。

添削前のREADME

添削前の冒頭は、「自転車シェアリングの利用数をLightGBMで予測しました。特徴量エンジニアリングを工夫し、RMSEは〇〇になりました。使用ライブラリはpandas、scikit-learn、LightGBMです」という内容でした。使った道具と結果の数字は分かりますが、なぜ予測するのか、その数値が良いのか悪いのか、何を工夫したのかが読み手に伝わりません。

添削後のREADME

添削後は、冒頭を次の表の4つの要素で組み立て直しました。

要素添削後の記載例
目的ステーションごとの自転車の偏りを減らすため、翌日の時間帯別の貸出数を予測する
評価の考え方不足すると機会損失になるため、予測の外れ方を時間帯ごとに確認した
結果前週同曜日の値を使う単純な予測と比べ、誤差を約〇割減らせた
限界イベント開催日のデータがなく、大型イベントの日は予測が外れやすい

ポイントは、比較対象を置いて改善幅を示したことと、限界を自分から書いたことです。単純な方法と比べてどれだけ良くなったかを示すと、精度の数字に意味が生まれます。また、限界を書いておくと、面接で「次に何をしますか」と聞かれたときの答えにもつながります。

READMEの後半に置く情報

冒頭の要約の後には、データの出典と取得日、前処理で除外したデータとその理由、試して効果がなかった手法を書いておきます。うまくいかなかった試行を書くことに抵抗を感じる人もいますが、仮説を立てて検証し、捨てた記録は、実務の進め方そのものを示す材料になります。

どこに載せるかで見せ方を変える

ポートフォリオを置く場所によって、伝えやすい内容は異なります。見せたい力に合わせて、置き場所を使い分けましょう。

GitHubはコードと再現性を見せる場所

GitHubには、ノートブックだけでなく、データ取得から前処理までを再実行できるスクリプトと、必要なライブラリのバージョンを記したファイルを置きます。フォルダ構成が整理されていると、チーム開発に慣れているかどうかの判断材料にもなります。

Kaggleは客観的な実績を補う場所

Kaggleのコンペでメダルを獲得していれば、第三者の評価として分かりやすい実績になります。一方で、コンペは目的と評価指標があらかじめ決まっているため、課題設定の力を示しにくい面があります。ポートフォリオの中心はあくまで自分で問いを立てた作品に置き、Kaggleは補足として扱うとバランスが取れます。

デモアプリや技術記事は非エンジニアにも伝わる場所

StreamlitなどでWeb上から操作できるデモを用意すると、コードを読まない人事担当者や事業部門の面接官にも内容が伝わります。分析の背景を文章で説明する技術記事も、説明力を示す材料として有効です。

立場によって見せるべき中身は違う

同じポートフォリオでも、未経験か経験者か、副業で仕事を受けたいかによって、見る人が知りたいことは変わります。自分に近い立場から確認してください。

未経験から挑戦する人

実務経験がない分、作品で「仕事として分析を進められること」を示す必要があります。データの取得から報告までを一人で通した作品を最低1つ用意し、READMEに意思決定への示唆まで書くと、学習成果の発表ではなく業務に近い成果物として見てもらえます。応募までに何を学んでおくべきかの全体像は、データサイエンティストになるための学習と経験の積み方で確認できます。学習の進め方はデータサイエンティストの勉強方法で、添削を受けられる学び場はデータサイエンティストにおすすめのスクールで紹介しています。

実務経験がある人

経験者の場合、業務の成果物の多くは公開できません。代わりに、職務経歴書の中で「どんな課題に対し、どんな手法で、どれくらいの効果が出たか」を数字とともに書き、ポートフォリオは得意分野を補強する公開作品や技術記事に絞ります。専門性を示せる作品があると、条件交渉の場面で自分の価値を説明する根拠にもなります。経験年数ごとの報酬の目安は、データサイエンティストの年収データと見比べておくと交渉の準備に役立ちます。応募先の探し方はデータサイエンティストにおすすめの転職サイトで紹介しています。

副業やフリーランスで仕事を受けたい人

発注者は、自社の課題を解決してくれるかどうかを見ています。作品ごとに「どんな事業課題に応えたか」を一文で示し、納品物の形式(レポート、ダッシュボード、APIなど)が分かるようにしておくと、依頼の具体像を描いてもらいやすくなります。働き方ごとの進め方はデータサイエンティストの副業やデータサイエンティストのフリーランスの働き方で紹介しています。

公開前に見落としやすい注意点

ポートフォリオは誰でも見られる場所に置くことが多いため、公開する前に、載せてよい情報かどうかを確認しておく必要があります。

前職や現職のデータを流用しない

業務で扱ったデータやコードは、たとえ加工していても公開すれば守秘義務違反になるおそれがあります。業務で得た知見を生かしたい場合は、公開データで同じ種類の問題を再現する形にとどめます。

APIキーや個人情報を含めたまま公開しない

クラウドのアクセスキーやAPIキーをコードに直接書いたまま公開すると、不正利用されて高額な請求を受けることがあります。キーは環境変数で管理し、公開前に履歴も含めて含まれていないかを確認しましょう。スクレイピングで集めたデータを公開する場合は、サイトの利用規約や個人情報の扱いにも注意が必要です。

作品数を増やすことを目的にしない

浅い分析を数多く並べるより、筋道の通った分析が数件あるほうが評価されやすい傾向があります。新しい作品を作る前に、既存の作品のREADMEを見直すほうが効果的な場合もあります。

ポートフォリオは一度作って終わりではなく、応募先が変わるたびに見せる順番や説明を調整していく資料です。採用担当者が最初の数分で目にするのは冒頭の数行とグラフ1枚だけ、という前提で手元のREADMEを読み返すと、書き足すべき目的や限界がどこに欠けているかが浮かび上がります。

著者情報

アラサー既婚子持ちのデジタルマーケター「T.I」です。
デザイン,コーディング,ライティング,seo,広告運用,sns運用の全てを担当しています。
大学卒業後、新卒の就活でやらかし、新卒を捨ててベンチャーで未経験のwebライターのアルバイトとしてキャリアをスタートして現在はプライム市場上場の企業でWebマーケター(正社員)として働いています。
未経験なりの悩みもわかるつもりなので、皆さんの力に少しでも役に立てるように情報を提供します。

お問い合わせはこちら