UI/UXデザイナーの年収は?相場や年収アップの秘訣を徹底解説
- 最終更新日:2026/10/15
「UI/UXデザイナーは、ほかのデザイナーより年収が高いって本当なのか」「今のスキルで、将来どれくらい稼げるようになるのか」と、収入面について悩んでいませんか。スマートフォンアプリやWebサービスの「使いやすさ」や「体験の価値」を設計するUI/UXデザイナーは、プロダクトを持つ企業を中心に求められており、デザイン職の中でも高めの年収を狙いやすい職種の一つです。仕事の全体像から確認したい方は、UI/UXデザイナーとはどんな仕事かを解説した記事もあわせてご覧ください。
一方で、求められるスキルの幅が広く、どうすれば年収が上がるのかが見えにくい職種でもあります。この記事では、UI/UXデザイナーの年収相場を公的な統計と経験段階ごとの役割から整理したうえで、年収を左右する要素、給与額以外に比べたい条件、そして年収アップにつながるスキルと具体的なルートを解説します。
なお、記事内の金額は公的統計などをもとにした目安です。実際の年収は、勤務先の規模や業種、担当範囲、個人の実績によって大きく異なります。
UI/UXデザイナーの年収相場は経験と担当範囲でどう変わるか
UI/UXデザイナーの年収は、経験年数そのものより、担当できる業務の深さとビジネスへの影響の大きさに応じて上がっていく傾向があります。まずは公的統計で全体の水準をつかみ、そのうえで経験段階ごとの役割の違いを見ていきましょう。
公的統計で見るUI/UXデザイナーの年収水準
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)のUX/UIデザイナーのページでは、賃金構造基本統計調査やハローワークの求人統計をもとにした数値が公開されています。同じjob tagのWebデザイナーのページ、国税庁の民間給与実態統計調査と並べると次のとおりです。
| 項目 | UX/UIデザイナー | Webデザイナー | 給与所得者全体 |
|---|---|---|---|
| 年収 | 578.5万円 | 539.6万円 | 平均給与487万円 |
| 平均年齢 | 37.1歳 | 39.1歳 | ― |
| 求人賃金(月額) | 34.4万円 | 28.2万円 | ― |
| 有効求人倍率 | 2.07倍 | 0.11倍 | ― |
| 出典 | job tag(令和7年賃金構造基本統計調査、令和7年度ハローワーク求人統計) | job tag(同左) | 国税庁 令和7年分民間給与実態統計調査 |
注意したいのは、job tagのUX/UIデザイナーの統計が「その他の情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)」などの分類に基づいており、UX/UIデザイナーだけを対象にした数値ではない点です。また、ハローワークの求人は民間の転職サービスの求人とは傾向が異なる場合があります。そのため数字は目安として捉えつつ、「Webデザイナーより高めの水準で、求人倍率も高い」という大まかな傾向をつかむ材料として活用しましょう。
経験段階ごとに求められる役割
経験段階ごとの年収を示した公的な統計はありませんが、担当範囲の広がりと評価のされ方には次のような傾向があります。
| 段階 | 主な担当範囲 | 年収に差がつきやすいポイント |
|---|---|---|
| ジュニア(経験1〜3年程度) | 指示に沿った画面設計、UIパーツの制作 | 設計の理由を説明できるか |
| ミドル(経験3〜7年程度) | ユーザー調査からの課題特定、改善案の立案と実行 | 改善のサイクルを自分で回せるか |
| シニア・マネージャー(経験8年以上) | デザイン組織の運営、デザイン戦略やデザインシステムの構築 | 組織や事業への影響を数字で示せるか |
同じ経験年数でも、企業や担当範囲によって年収に大きな差が出ることがあります。段階ごとのキャリアの広げ方はUI/UXデザイナーのキャリアパスの記事でも紹介しています。
ジュニア層は設計の理由を言葉にできるかで伸び方が変わる
この段階では、Figmaなどのツールを使って、指示に沿った画面やパーツを正確に作ることが主な仕事です。年収の差がつきやすいのは、作った画面について「なぜこの配置にしたのか」を説明できるかどうかです。設計の理由を言葉にする習慣がある人ほど、早い段階で上流の仕事を任されやすくなります。
ミドル層は改善のサイクルを自分で回せるかが分かれ目
ユーザーインタビューやデータ分析から課題を見つけ、仮説を立て、デザインし、効果を検証するまでを自分で進められるようになると、市場で評価されやすくなります。エンジニアやプロダクトマネージャーと対等に議論し、仕様の決定に関われる実績は、転職時の年収交渉でも強い材料になります。
シニア層は個人の成果より組織への影響で評価される
デザイン組織のマネジメントや、全社のデザイン方針の策定、デザインシステムによる開発の効率化などを担う層です。ここでは「何年働いたか」より、「どんな成果をどう出したか」を数字で示せることが評価の条件になります。
Webデザイナーなど近い職種との年収差が生まれる理由
前述のjob tagの数値でも、UX/UIデザイナーはWebデザイナーより高めの水準が示されています。Webデザイナーの年収水準や働き方による違いは、Webデザイナーの年収の相場で確認できます。差が生まれる背景には、次のような点があります。
デザインの良し悪しが売上や継続率に直結する
Webデザイナーがバナーやページの制作を中心に担うことが多いのに対し、UI/UXデザイナーはユーザー調査や行動データをもとにサービス全体の体験を設計し、申し込み率や継続率の改善にまで踏み込みます。登録フォームの入力手順を見直して申し込み率の改善を狙う、といったように、デザインの判断が売上に影響する環境では、報酬にも反映されやすくなります。具体的な業務内容はUI/UXデザイナーの仕事内容の記事で紹介しています。
デザインとビジネスと技術の知識を組み合わせる人材が少ない
UI/UXデザイナーには、認知心理学、データ分析、エンジニアリングへの理解、ビジネス要件の整理といった幅広い知識が求められます。job tagでも、デザインや情報設計の基礎、人間中心の設計、心理学の知識が求められ、マーケティングの知識も役立つとされています。KPI(重要な業績指標)やROI(投資対効果)の言葉でビジネス側と話せるデザイナーは、制作担当というより事業のパートナーとして評価されやすく、それが年収の高さにつながる一因と考えられます。
年収を左右する勤務先の特徴
年収を上げるには、自分のスキルだけでなく、どこで働くかも大きく影響します。年収水準が高めになりやすい勤務先には、次のような特徴があります。
自社プロダクトを持ち成長を続けている企業
SaaS(インターネット経由で提供する業務用ソフト)やSNS、ECサイトなどを自社で開発・運営している企業です。プロダクトの改善が常に続いているため、デザイナーの提案が事業の成長に結びつきやすく、成果が賞与や昇給に反映されやすい傾向があります。求人票に「デザイナーがプロダクトの意思決定に参加できる」と書かれているかどうかが、見極めの目安になります。
デザインを経営の中心に置いている企業
経営陣にデザインの責任者(CDO)がいるなど、デザインを事業価値を生む投資として扱っている組織です。デザイナーの評価等級がエンジニアと同等に設定されている場合もあり、面接では「デザイナーが意見を言える文化があるか」を確認しておくと判断材料になります。
外資系のIT企業やグローバルな評価制度を持つ企業
グローバル基準の評価体系を持つ企業は、国内の平均的な水準を上回る条件を提示することがあります。高い専門性と英語でのコミュニケーション力を求められる場合が多く、成果に対する要求水準も高いため、条件面だけでなく求められる役割まで確認したうえで判断することが大切です。
提示年収だけで判断しないために確認したい条件
求人票の年収額だけを比べると、実際の手取りや働き方との釣り合いを見誤ることがあります。次の点もあわせて確認しましょう。
賞与と固定残業代の扱い
同じ年収600万円でも、賞与の比率が高い会社は業績によって年収が上下しやすく、月給の比率が高い会社は安定しやすいという違いがあります。また、固定残業代(みなし残業代)が含まれている場合は、その内訳を確認しておきましょう。厚生労働省の固定残業代の明示に関するリーフレットでは、固定残業代制を採用する場合、募集要項や求人票などに次の3項目すべてを明示するよう求めています。
| 明示が求められる項目 | 確認するときの見方 |
|---|---|
| 固定残業代を除いた基本給の額 | 年収の中で固定部分がいくらかを把握する |
| 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法 | 何時間分の残業代が含まれているかを確認する |
| 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨 | 超過分が別途支払われるかを確認する |
求人票にこれらの記載が見当たらない場合は、応募前や面接の場で確認しておくと、入社後の思い違いを防げます。
評価制度と昇給の仕組み
デザイナー専用の評価基準があるか、マネジメントに進まなくても専門職として昇給できる等級があるかは、長期的な年収に大きく影響します。面接で「デザイナーはどのような基準で評価されるか」「過去にどのような成果で昇給した例があるか」を聞いておくと、入社後のずれを防げます。
ストックオプションなど将来の報酬
スタートアップでは、給与を抑える代わりにストックオプション(将来、自社株を決められた価格で買える権利)を付与する場合があります。将来大きな価値になる可能性がある一方で、会社の成長や上場の状況によっては価値がつかないこともあるため、年収の一部として過大に見積もらないことが大切です。
年収アップにつながるスキル
年収を上げるために磨きたいスキルを紹介します。どれも、デザインの成果を事業の言葉で示すために役立つものです。
データにもとづいて改善を説明する力
Googleアナリティクスやヒートマップツール(ページ上でよくクリックされた場所や、読まれずに離脱した場所を可視化するツール)を使い、数字にもとづいて改善を提案できるデザイナーは評価されやすくなります。たとえば「ボタンを目立たせたい」ではなく、「ヒートマップで離脱が多い箇所を特定し、ボタンの配置とコントラストを見直してクリック率の改善を狙う」と説明できれば、意思決定が速くなり、貢献度も示しやすくなります。
実装を理解してエンジニアと連携する力
HTMLやCSS、JavaScript、Reactといったフロントエンドの技術を理解しているデザイナーは、実装の制約を踏まえたデザインができるため、手戻りが減り開発全体が進めやすくなります。再利用できる部品(コンポーネント)の単位で設計し、デザインシステムとして整えられると、チーム全体の生産性に貢献できます。コードを書けることより、エンジニアの言葉で話せることを最初の目標にすると現実的です。
ユーザー調査から何を作るべきかを決める力
インタビューやユーザビリティテストでユーザーの不満や不便を言葉にし、「そもそも何を作るべきか」を定義できる人材は、重宝されやすい存在です。開発に着手する前に試作品でテストを重ね、大きな問題を早い段階で見つけて修正できれば、開発コストの無駄を減らした実績として評価されます。
年収を上げるためのルート
年収を上げる方法は、大きく「今の会社で上げる」「転職で上げる」「独立や副業で収入源を増やす」に分かれます。どれが合うかは、今の会社の評価制度や、自分がどこまでリスクを取れるかによって変わります。
今の会社で昇給や昇格を目指す
社内での評価を上げるには、デザインが事業に貢献した証拠を積み上げることが着実な方法です。担当したページの申し込み率の変化を定期的に上司へ報告する、デザインシステムの整備や後輩の育成を担うといった組織への貢献も、昇給や昇格の理由として有効です。評価面談の前に、半年分の成果を数字で整理しておきましょう。
評価の高い環境へ転職する
今の会社でデザイナーの評価基準があいまいな場合や、担当範囲が広がる見込みがない場合は、転職が年収アップの近道になることがあります。複数の企業に応募して条件を比較すると、自分の市場価値を客観的に把握でき、交渉もしやすくなります。転職活動の具体的な進め方はUI/UXデザイナーの転職の進め方で解説しています。IT分野の求人紹介サービスを使う場合は、@PRO人(アットプロジン)の評判を紹介した記事なども参考に、自分の経験に合う求人を扱っているかを確かめてから利用を検討してみてください。
フリーランスや副業で収入源を増やす
実務経験が豊富なUI/UXデザイナーは、業務委託の案件でも需要があります。実績や担当範囲によっては、会社員時代を上回る収入を得られる場合もあります。ただし、収入が安定しない時期があり、社会保険や税金の手続きも自分で行う必要があります。独立の判断材料はUI/UXデザイナーがフリーランスになる方法で、単価を上げやすい領域はUI/UXデザイナーの高単価ジャンルの記事で詳しく扱っています。
本業を続けながら、スタートアップのUI/UX改善をスポットで手伝う副業も選択肢です。異なる業界の案件に関わることでポートフォリオが充実し、本業での評価にもつながります。始める前に、勤務先の就業規則で副業が認められているかを確認してください。副業の始め方はUI/UXデザイナーの副業の記事で紹介しています。
税金の面では、国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人の案内のとおり、1か所から給与を受けていて年末調整を受けている会社員の場合、給与以外の所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税には同様の省略の仕組みがなく、名古屋市などの自治体は住民税の申告が必要だと案内しています。手続きの詳細はUI/UXデザイナーの確定申告で確認できます。
年収交渉の材料になる実績の整理方法
転職でも社内評価でも、年収を上げる場面で役立つのは、デザインの成果を数字と過程で説明できる実績です。
ポートフォリオに課題と結果を書き込む
完成した画面を並べるだけでなく、「どんな課題があり、どう考え、デザインによって何が変わったか」を書き込みましょう。たとえば「ECサイトの購入手続きを見直し、カート画面からの離脱を減らした」といった記述に、公開できる範囲の数字を添えると、デザインの価値が伝わりやすくなります。数字を出せない場合でも、「課題、仮説、デザイン、結果」の流れを丁寧に書くだけで説得力が上がります。構成の考え方はUI/UXデザイナーのポートフォリオの作り方で紹介しています。
他職種の言葉で成果を言い換える
マーケティングの「コンバージョン率」、開発の「工数」、経営の「売上」や「解約率」など、相手の職種が使う指標で成果を言い換えられると、評価する側が価値を判断しやすくなります。グロースハックやアジャイル開発、OKR(目標と成果指標の管理手法)といった周辺領域の考え方を学んでおくと、この言い換えがしやすくなります。
年収について誤解されやすいこと
UI/UXデザイナーの年収については、実態とずれたイメージが広まっていることもあります。代表的な誤解と、実際に意識したいポイントを確認しておきましょう。
経験年数を重ねれば自然に年収が上がる
IT・デザイン業界では、経験年数より「どんな成果を出したか」が評価の軸になりやすい傾向があります。job tagでも、UX/UIデザイナーは実績が重視され、それが次の仕事につながるとされています。5年の経験があっても成果を言葉にできていなければ、3年目で実績の豊富なデザイナーに市場価値で並ばれることもあります。
フリーランスになれば誰でも稼げる
フリーランスで高い収入を得るには、独立前に案件を継続的に獲得できる実績と人脈を築いておく必要があります。実績が少ないまま独立すると、収入が安定しないリスクが高くなります。独立はゴールではなく手段の一つと捉え、準備が整ってから検討するのが現実的です。案件の探し方はUI/UXデザイナーの案件獲得の記事で紹介しています。
スキルを磨けば転職だけで年収が大きく上がる
スキルは必要条件ですが、それだけでは十分ではありません。スキルを実績として説明する力と、条件を交渉する力の両方が必要です。業界の相場を複数の情報源で確認し、自分の市場価値を客観的に把握したうえで交渉に臨みましょう。
今の状況別に考える年収アップの進め方
以下は一般的なモデルケースです。実際の結果は、勤務先の制度や個人の実績によって異なります。
転職を考えている会社員の場合
まず、現職で何を改善し、どんな変化を生んだかを数字で整理し、ポートフォリオに反映させます。そのうえで複数の企業に応募し、条件を比較できる状態を作ると交渉が進めやすくなります。第一志望だけに絞らず、比較の材料になるほかの選考も並行して進めるのが現実的です。
今の会社で年収を上げたい場合
評価面談のタイミングに合わせて、担当した改善の成果を数字で整理して報告する習慣をつけましょう。デザインシステムの整備や後輩の育成といった組織への貢献も、査定の材料になります。評価基準が不明確なら、上司に「どんな成果を出せば次の等級に上がれるか」を具体的に確認しておくと、取り組むべきことがはっきりします。
これからUI/UXデザイナーを目指す場合
未経験から入る場合、最初の年収は低めからのスタートになりやすいものの、実務経験を積むにつれてその後の伸び方が変わってきます。最初の職場は年収の高さより、優れたデザイナーから学べるか、ユーザー調査や改善の経験を積めるかを優先すると、長い目で見て年収を伸ばしやすくなります。目指すまでの道のりは、UI/UXデザイナーになるための学習ロードマップで紹介しています。今後の需要の見通しはUI/UXデザイナーの将来性の記事も参考になります。
どの状況でも、最初にやるべきことは、自分の実績を数字と過程で書き出すことです。まずは直近で担当した仕事を1つ選び、「課題、自分の判断、変化した数字」の3点をメモに書き出してみてください。それが、昇給の面談でも転職の面接でも使える材料になります。
