プロダクトマネージャー(PM)はオワコンなのか?不安の理由と判断材料
- 最終更新日:2026/11/03
プロダクトマネージャー(PM)はオワコンではないか、と調べる方の多くは、生成AIの普及やPM職の急な広がりを見て、この先も食べていけるのか不安を感じているのではないでしょうか。結論から言うと、プロダクトマネージャー(PM)がオワコンだと断定できる根拠は確認できませんでした。ただし、役割が曖昧なまま肩書きだけを持つPMは厳しくなりやすい、という条件つきの話にはなります。この記事では、オワコンと言われる理由を一つずつ検証し、自分で判断するための材料を渡します。
プロダクトマネージャー(PM)がオワコンと言われる3つの理由を検証する
検索すると、否定的な声はおおむね三つの方向に集まります。それぞれに一理ある部分と、条件を外すと当てはまらない部分があるため、順に見ていきます。
肩書きだけが増えて役割が曖昧になっているという声
プロダクトマネージャーという名前の求人が増えるにつれ、実態はプロジェクト管理や仕様の伝達が中心という職場も目立つようになりました。この状態で働くと、事業の数字に責任を持つ経験が積めず、転職市場で評価されにくいという不満が出ます。これはPMという職種の問題というより、組織がPMに与えている権限の問題です。事業責任を持たないPMはオワコンというより、PMと呼ぶべきかが怪しい働き方と言えます。
AIが資料作成を代替するから不要になるという見方
要件の下書きや議事録の要約、競合調査のたたき台づくりは、すでにAIで時短できる作業です。ここだけを仕事の中心にしているPMは、確かに価値が下がりやすいでしょう。一方で、どの課題を今期に解くのか、開発チームと営業が衝突したときにどちらの案を採るのかといった判断は、事業の文脈と責任を引き受ける人が必要です。AIとの線引きについては、AIと競い合う場面と任せる場面を整理したプロダクトマネージャーの記事で詳しく扱っています。
未経験からは入りにくくなったという指摘
求人票に事業会社でのプロダクト運営経験を求める記載が増えているのは事実です。ただし、これは需要が消えたことを意味しません。むしろ、任せられる人が足りないから経験者を探している、という見方もできます。未経験者にとっては入口が狭く見えるだけで、社内異動やエンジニア、デザイナー、営業からの転身という道は残っています。入口の考え方はプロダクトマネージャーになるまでの道筋にまとめています。
需要が続くと見られる根拠と、読み取るときの注意点
需要を数字で確かめたくなりますが、PM職は定義が会社ごとに違うため、確かな統計は多くありません。ここでは、確認できた範囲の情報とその限界を書きます。
求人の年収提示から見えること
転職エージェントのGeekly(ギークリー)の解説記事では、プロダクトマネージャーの求人は年収500万円からの提示が多く、1,000万円を超える求人もあると紹介されています。ただし、この数字は求人を見た筆者の観察に基づくもので、公的な統計ではありません。年収の水準そのものはプロダクトマネージャーの年収の記事で整理しているので、そちらも合わせて見てください。
普及の背景は今も変わっていない
同じ記事は、PMが注目される背景としてIT系プロダクトの普及とアジャイル開発の浸透を挙げています。作って終わりではなく、公開後も改善を続ける開発スタイルが一般的になるほど、何を作り何を作らないかを決める役割の必要性は残ります。この構造が変わらない限り、役割自体が消える可能性は低いと考えられます。
海外の人気職種の評価は参考程度にとどめる
米国の求人サイトGlassdoorの2021年の企画で、プロダクトマネージャーが高く評価されたことはよく引用されます。ただし、これは米国の、しかも数年前の話です。日本の現在の需要を示す根拠としては弱いため、本記事では判断材料に数えていません。
厳しくなりやすいPMと、価値が残りやすいPMの違い
同じ肩書きでも、仕事の中身によって先行きは変わります。ここでは典型的な二つのケースを、一般的なモデルとして示します。実在の個人の体験談ではありません。
厳しくなりやすいケースは進行管理と伝達が中心の働き方
たとえば、受託開発の会社でPMを名乗り、顧客の要望を仕様書に書き写して開発に渡し、スケジュールの遅れを報告する仕事が中心の場合です。顧客の要望を取捨選択する権限がなく、成果の指標も持たない状態では、AIや外部ツールで代替されやすい作業が多くなります。この働き方を数年続けると、次の職場で語れる成果が乏しくなる点に注意が必要です。
価値が残りやすいケースは優先順位と合意形成を担う働き方
BtoB SaaSの事業会社で、解約率や導入社数などの指標を見ながら、次の四半期に作る機能を決める立場の場合を考えてみます。営業が求める個別機能と、多くの顧客に効く改善のどちらを優先するかを、根拠を示して説明し、関係者に納得してもらう必要があります。こうした判断と合意形成は、数字に責任を持つ人にしか担えません。AIの出す分析を材料に使いこなす側に回れる点も強みです。
どちらに近いかを見分ける確認項目
自分の現在地は、次の点で確かめられます。
- 担当プロダクトの数値目標を自分が持っているか
- 機能を作らない判断を自分で下した経験があるか
- 開発以外の部門と優先順位を交渉した経験があるか
三つともほとんど該当しない場合は、役割の見直しや配置転換を考える時期かもしれません。
立場別に考える今後の動き方
オワコンかどうかの答えは、読者の立場によって使い方が変わります。三つの立場に分けて、具体的な動き方を示します。
現役のPMは判断の実績を言葉にしておく
すでにPMとして働いている方は、担当した判断を、背景と結果とともに文章にしておくと次の選択肢が広がります。伸びる道筋を整理するならプロダクトマネージャーのキャリアパスが参考になります。AIの使いどころを実務に落とすなら、AIを日々の業務に取り入れる方法も合わせて確認できます。
目指している方は経験の積み方を逆算する
PMを目指す方は、いきなり肩書きを狙うより、いまの職場で小さな改善の企画を出し、数字で結果を確かめる経験を積むほうが現実的です。エンジニアなら要望の背景を顧客に聞きに行く、営業なら失注理由を集めて開発側に共有するといった行動が、そのまま実績になります。
30代以降の転身は経験の翻訳から始める
年齢に不安がある方は、これまでの職種で培った強みをPMの言葉に置き換える作業から始めるとよいでしょう。年代ごとの考え方は、30代でプロダクトマネージャーを目指す場合の進め方で扱っています。
不安を行動に変えるための最初の一歩
オワコンという言葉に振り回されないためには、世間の評価ではなく、自分の仕事の中身を確かめるのが近道です。直近1週間の業務を書き出し、自分で判断した場面と、ただ伝達しただけの場面に印をつけてみてください。判断の場面が少ないと分かれば、次に取りに行く経験がはっきりします。
