データアナリストへの道は高校生から始められる|数学・情報の授業と進路選びの考え方
- 最終更新日:2026/10/11
データアナリストに興味を持った高校生にとって、いちばん気になるのは「今から何をすればいいのか」「どの学部に進めば近道なのか」ではないでしょうか。データアナリストは、高校卒業後すぐに就く人は少なく、大学などで学んだあとに企業へ入るか、別の仕事で経験を積んでから転向する人が多い職種です。だからこそ高校生の段階では、職業そのものを急いで目指すより、進路の選び方と、授業や探究の時間でできる準備が大切になります。この記事では、高校の授業とデータアナリストの仕事のつながり、進路ごとの特徴、在学中に取り組めることを順に紹介します。
高校生がデータアナリストを目指す前に知っておきたい道筋
データアナリストは、企業に集まる売上や顧客、アクセスなどのデータを集計・分析し、「どの商品がなぜ売れているのか」「どの施策に効果があったのか」を数字で説明する仕事です。新卒で採用される場合は、大学や大学院で統計や情報、経済などを学んだ人が多く、求人の多くは大卒以上を条件にしています。
一方で、データアナリストに必ず決まった学部や資格が必要というわけではありません。文系学部から入社し、営業やマーケティングの仕事を経て分析の担当になる人もいます。高校生のうちに決める必要があるのは、職業名ではなく、「数字を使って考えることを学べる進路を選ぶかどうか」くらいだと考えると、選択肢を狭めすぎずに済みます。仕事の中身はデータアナリストが担う具体的な仕事について別にまとめているので、イメージが湧かない人は先に読んでみてください。
高校の授業はデータアナリストの仕事のどこにつながるか
実は、今の高校の授業の中にも、データアナリストの仕事の基礎になる単元があります。授業を「将来使う道具」として受けると、身につき方が変わってきます。
数学Iの「データの分析」は仕事の入口そのもの
平均値・中央値・最頻値、四分位数と箱ひげ図、分散と標準偏差、散布図と相関係数。これらは数学Iで学ぶ内容ですが、データアナリストが毎日のように使う考え方です。たとえば社員の残業時間を分析するとき、平均値だけを見ると一部の極端に長い人に引っ張られるため、中央値や箱ひげ図で分布を確認します。教科書の例題を、身近なデータに置き換えて考えてみると理解が深まります。
数学Bの統計は「差が偶然かどうか」を考える力になる
数学Bの「統計的な推測」では、母集団と標本、正規分布、仮説検定の考え方を学びます。企業では、2種類の広告のどちらがよく反応されたかを比べるときに、その差が偶然の範囲かどうかを判断する場面があり、この単元の考え方がそのまま使われます。選択科目として履修できるかどうかは学校によって異なるので、進路の希望とあわせて先生に相談してみましょう。
情報Iではデータの扱いとプログラミングの基礎に触れる
情報Iでは、プログラミングやデータの活用を学びます。表計算ソフトでのデータ整理や、簡単なプログラムでデータを処理する体験は、データアナリストが使うExcelやPythonにつながる内容です。大学入学共通テストでも「情報」が出題科目に加わっているため、受験勉強としても無駄になりません。
進路ごとの特徴と向いている人
データアナリストにつながる進路は1つではありません。主な選択肢を比べると、次のようになります。
| 進路 | 学ぶ内容の例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| データサイエンス系の学部 | 統計学、プログラミング、データ分析の演習 | 分析を専門として深めたい人 |
| 情報系・理工系の学部 | プログラミング、データベース、数学 | システムやエンジニアにも興味がある人 |
| 経済・経営・社会学などの学部 | 統計、計量経済学、社会調査 | ビジネスや社会の課題に関心がある人 |
| 専門学校のIT・データ系学科 | 実務的なツールの操作、資格対策 | 早く実践的な技能を身につけたい人 |
データサイエンス系学部は近道だが、学部選びの決め手は中身
2017年に滋賀大学が日本で初めてデータサイエンス学部を設置して以来、データサイエンスを掲げる学部や学科は全国の大学に広がっています。分析の専門教育を早くから受けられる点は大きな利点です。ただし名前が同じでも、数学の比重が高い学部、ビジネスへの応用を重視する学部など特色はさまざまです。オープンキャンパスやシラバスで、1年生から実データを扱う演習があるか、企業との共同研究があるかを確認すると違いが見えてきます。
文系学部からでもデータアナリストは目指せる
経済学部や経営学部、社会学部でも、統計学やアンケート調査の分析を学ぶ授業があります。データアナリストの仕事では、数字を出すだけでなく、それを事業の言葉で説明する力も必要なため、ビジネスや社会への理解は強みになります。数学が苦手で理系をあきらめている人も、文系学部で統計の授業やデータ分析のゼミを選ぶ道があります。
専門学校や高卒就職は情報を集めてから判断する
専門学校では、ExcelやSQL、Pythonなど実務で使うツールを短期間で集中的に学べます。一方で、データアナリストの求人には大卒以上を条件とするものも多いため、卒業後の就職先として実際にどんな職種に就いている人がいるかを、学校の説明会で具体的に聞いておくことが大切です。高卒で就職する場合も、事務や販売の仕事で数字を扱いながら経験を積み、のちに分析の仕事へ移る道は考えられますが、時間がかかる道であることは理解しておきましょう。
在学中に自分で試せること
高校生のうちにできる準備は、難しい専門知識を先取りすることよりも、「データから何かを見つける」体験を一度してみることです。
探究学習で公開データを使ってみる
総務省統計局の政府統計の総合窓口(e-Stat)などでは、人口や家計、観光などの統計データが公開されています。総合的な探究の時間で、地元の人口の推移や観光客数の変化を調べ、グラフにして理由を考えるだけでも、データアナリストの仕事の流れを小さく体験できます。「なぜこうなったのか」を1つの理由で決めつけず、別の可能性も書き出してみることが、分析らしい考え方の練習になります。
表計算ソフトの操作に慣れておく
学校の授業や部活動の記録、文化祭の売上など、身近なデータを表計算ソフトにまとめてみましょう。並べ替え、合計や平均の関数、グラフ作成ができるようになるだけでも、大学やアルバイト先で役立つ場面があります。
統計検定の下位の級に挑戦してみる
統計検定には、中学・高校レベルの内容を扱う4級や3級があります。教科書で学んだデータの分析を、試験という目標に向けて整理し直すきっかけになります。合格そのものより、自分が統計の考え方を面白いと感じるかどうかを確かめる機会として使うのがおすすめです。
家族や先生と進路を話すときに役立つ材料
データアナリストはまだ身近に働いている人が少ない職業なので、家族や先生にうまく説明できないこともあるでしょう。進路の相談をするときは、次のような点を整理しておくと話が進みやすくなります。
- 興味を持ったきっかけ
- 学びたい分野(統計、情報、ビジネスなど)
- 候補の大学・学部と、その学部で学べる授業
- 数学の得意・不得意と、受験科目の見通し
- 学費や通学などの条件
また、データアナリストは将来性が話題になりやすい一方、AIの発達で単純な集計作業は減っていくとも言われています。データを集計するだけの役割にとどまらず、結果をもとに提案できる人が求められていくという見方が一般的なので、進路を選ぶときも「分析の技術」と「何かの分野への関心」の両方を育てられるかを基準にすると、家族にも説明しやすくなります。
今は急がなくてよいこと
早く準備を始めたい気持ちがあるほど、手を広げすぎてしまうこともあります。高校生の段階では、次のようなことは後回しにしても問題ありません。
プログラミング言語をいくつも覚えること
PythonやSQL、Rなど、データ分析で使う言語は複数ありますが、高校生のうちにすべてを習得する必要はありません。授業で扱う言語で「データを読み込んで集計する」体験ができれば十分で、本格的な学習は大学に入ってからでも間に合います。
職業を1つに決め切ること
データアナリストのほかにも、データサイエンティストやマーケター、エンジニアなど、データを扱う仕事はたくさんあります。大学で学ぶうちに興味が変わることも自然なことです。大学生になってからの準備については大学生がデータアナリストを目指すときの過ごし方でまとめているので、進学後の見通しを持つために目を通しておくと、高校の今やるべきことがよりはっきりします。
数学の授業で出てきた箱ひげ図や相関係数が、社会の中でどう使われているのかに気づけた時点で、データアナリストへの第一歩はもう始まっています。気になるデータを1つ選び、グラフにして理由を考えることから始めてみると、自分に合った進路も見えてくるはずです。
